小さな表現者展大盛況でした。
以前は子どもたちの作品を通して発達を見てもらうようなイベントでしたが、今回などは、日々の保育の中で遊びとして行われている表現活動からみられる豊かな生活体験を感じてもらうようなスタイルに変容してきているように感じます。
展示方法もきれいに整った美術館のような形から、子どもが作品に直接アクセスして遊べるような展示方法にダイナミックに変わってきており、保育士が伝えたいことをインスタレーション的に表現するようになっているとも言えます。
これはここ数年大切にしている「こども参画型」の保育がゆっくりと浸透しているからかもしれません。
一方、昔のように保育士がねらいを立てて子どもたちに技法を教え、作品を作っていた時代よりも 子どもたちの表現活用の中にみられる「子どもの想い」をくみ取り、一緒に面白がりながら子どもの世界を拡張、または深化させていくような力量が必要となっているということでもあり、ますます、専門性が問われるようになってきているとも言えます。
でも、職員たちは一見、何の魅力もないような作品に対してもこどもがなぜそれを作品を作ろうと思い行動したのか? そして、製作過程で何が起こったか? さらにそのこときっかけで友達関係を含めどのような変化を起こしているかなどなどを細かくリアルに伝えようとしてくれる姿があり、個人的にはそういったシーンが随所にみられたところが一番の喜びでもありました。
一方、今後さらに魅力的なイベントとなっていくためにもいくつかの課題もあります。
一番大きな課題は行事前の準備の大変さです。
決まった形の画用紙をクラスの子どもの枚数飾るというスタイルであれば事前に位置を決めて展示すれば良いのですが、遊びの延長から出てきた様々な表現活用を伝えるために工夫して展示する・・・それも普段の生活を行事前だからと言って大きく変化させずに準備をするノウハウままだまだ出来上がっていません。
結果、毎日遅くまで準備に時間をかけるのは例え、イベントが大成功でもしっかり改善していかねばならないと考えています。
また、毎回、子どもたちが誰かとコラボして「何か」を行うのですが、今回は㈱太陽企画の協力で年長児との「コマ撮り映画」を作りました。
たった2分半の作品ですが、ここに至るまでの道のりは大変でした。
子どもたちは粘土で何かを作ることも創作の物語を作って遊ぶことも大好き。
でもコマ撮りの映画を作るためには少しずつシーンを変えていくことで流れるような映像になっていくという理屈をちゃんと理解し、それをその行為を実行する、それも何枚も何枚も、さらにさらにみんなで協働して・・・完成形のイメージが湧いていなければやらされる活動になってしまうというジレンマと闘いながらの根気のいる保育でもありました。
でも、保育園でワースレスさんのコンサートが行われ、そこで「フライパンダ」の絵本と歌に出会ってから一気に子どもたちのベクトルが合い、また、撮影、編集に協力してくれた飯岡拓馬くんの頑張りもあって、イベント一週間前に作品が出来上がりました。
子どもたちと行った上映会では側面的にしか関わっていない僕でもジーンと熱くなるものがありました。
保育の営みというのはドラマの連続です。他愛のない毎日に見えてもそこには様々な人間模様があり、その面白さを伝える手段として小さな表現者展を充実させていきたいなと感じた一日でした。