「伝え方」を磨く前にやるべきこと

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今年度、法人の10年目以上の職員は「相手の力を引き出す」をテーマに往還型の研修を続けてりました。そして、今日は大妻女子大の坂田先生による振り返りを兼ねた研修が行われました。

事前に提出されていた課題を読んでみると、多くの人たちは若手との関わりがうまくいかないとき、「伝え方が悪かったのかもしれない」「言葉選びを間違えたのかもしれない」と『伝え方の問題』と考えがちなことがわかった。

僕も自分自身の反省も兼ねていうならば、多くの場合、問題は「伝え方・話し方」の技術ではなく、関わる前に頭の中で何が起きているか——その構造が整理されていないことにあると思っています。

たとえば一つの声かけの中に、「うまくやってほしい」「失敗してほしくない」「ちゃんと分かってほしい」「自分の考えも伝えたい」といった複数の目的が同時に入り込んでしまうことがあります。すると情報量は増え、何が一番伝えたいのかがぼやけ、受け手の若手は「結局、評価されているのかな?」と感じてしまい、結果として「伝わらなかった」が残るという現象があちこちに見られます。問題は「話が長いこと」だったり、「いい言葉を見つけられなかった」ことではなく、実は目的が一つに絞られていないことが一番の問題なのではないかと思っている。

また、自分もそうなることがあるのだが、無意識のうちに「先輩」「評価者」「教える人」「同僚」といった立場や役割を行き来しながら話してしまうこともある。言っている内容は正しくても、若手からすると「どの立場から言われているのか分からない」状態になり、結局、相手に混乱が生まれてしまうなんてことも・・・。コーチング的に関わるのであれば、今、自分はどの役割で関わっているのかを自分自身が分かっていることが大前提に無ければならないわけだ。

さらに、相手の「今」が見えていないまま先に進めてしまうことも結構、現場ではあるのだろう。まだ気持ちや考えが整理できていない段階で「じゃあ次はこうしてみたら?」と言われると、相手は急かされたように感じ、思考が止まってしまいます。これはスキルの問題ではなく、相手の思考プロセスとのズレ・・・。さらに加えて、僕らがつい口にしてしまう「余計な一言」は、人格の問題ではなく、「善意が暴走している状態」と捉えることができる。沈黙に耐えられず補足してしまう不安、先輩として役に立たなければという焦り、自分の成功体験を渡したくなる衝動・・・いずれも善意から生まれているのだけれど、その善意が早すぎる介入となり、若手の「試行錯誤する権利」や「考える時間」を奪ってしまうこともあることを忘れてはいけない。

伝え方を変える前に、まず関わる前段を整える。
①今は何の時間なのか

②自分はどの立場なのか

③相手はどこまで考えているのか。
この三つが整理されるだけで、言葉は自然に減り、誤解も少なくなり「伝わる」が多くなってきます。10年以上の経験を重ねた今だからこそ、求められているのは、『教える力ではなく、考えが育つを守る力』なのだと思う。